ヘルス

■ 「冬編」/小児科のお医者さまにお聞きした冬に注意すべき病気を掲載 ■

「ヘルス」ページでは、
季節ごとに小児科のお医者さまによる子ども達にとって、注意すべき病気をあげていただきます。
日常生活の参考にしていただければ幸いです。

 

◇ 風邪


問い 1 : 「風邪」ってどんなもの?
答え : 熱が出たり咳をすると、「風邪ひいたかな」と考えたり、病院に行っても「風邪ですね」と言われたことがあると思います。  でも、症状は知っていても、本当の意味はあまり知られていないかもしれませんね。  「風邪」は、病原体が鼻やノドにかけて(上気道と言います)感染し、急性の炎症を起こす病気の総称です。  病原体の多くはウィルスで、RSウィルスやアデノウィルスが有名ですが数百種類以上あると言われています(インフルエンザもウィルスですが、「風邪」ではないと考えられています)。  ウィルスは気温が低く乾燥した条件を好むので、冬の季節にかかりやすくなります。  また、ウィルスは自分で増殖することができず人の細胞に入り込んで仲間を増やすので、密着する集団生活をする機会が増えるほど感染するリスクが多くなります。  症状は鼻水、咳、ノドの痛みが多く、発熱を伴わないこともあります。  ほとんどの症状は軽く数日で治りますが、中耳炎や副鼻腔炎といった合併症、炎症がさらに進んで気管支炎や肺炎を起こすこともあります。

問い 2 : どうしたら「風邪」を防げるの?
答え :
予防の基本は、原因となるウィルスを「持ち込まない」ことです。
・手洗いとうがい(とても大切です)。
石鹸と水を使い、爪や指の間、手首のあたりまでしっかり洗いましょう。
・人混みを避ける。
特に、体育館やコンサート会場といった閉じられた環境は感染のリスクが増えます。
ウィルスを増殖させにくくする。
・冬に流行するウィルスは高温、多湿に弱いです。
室温は大人が快適と感じる温度、湿度50~60%を保つようにしましょう。
・換気。
寒くても、適宜(1時間に1回が目安)に窓を開けて換気します。 
特に、家族で 風邪をひいている人がいる場合には気をつけましょう。
免疫力を低下させない
・早寝・早起き、バランスの取れた食事、運動を心掛けましょう。
・体が冷えると免疫力が低下します。
寒い環境では暖かい服装を身に着け、夜間は寝冷え しないようにしましょう。
といったことが大切です。  また、寝ている間の熱中症を防ぐために、「睡眠環境」を快適に保ちましょう。
そして、日頃から適度な運動、適切な食事、十分な睡眠をとるように心がけることも大切です。

問い 3 : 「風邪」にかかってしまったら
答え : 風邪を治す特効薬はありません。  自分の力で治すのをサポートしてあげることが大切です。
早く治すことは、合併症を防ぐことにつながります。  自宅でできることですので、ホームケアと呼ばれています。
・安静
最も大切なのは、体を十分休めること。 特に発熱時は、静かに過ごしましょう。
・水分補給、食事
発熱することで普段より体から水分が多く失われます。  意識的に多めに飲むように心がけましょう。
一度にたくさんでなく、少量でいいのでこまめに飲ませることが大切です。
食欲がなければ、無理に食べさせる必要はありません。
・薬
残念ながら「風邪」のウィルスに効く特効薬はありません。
病院では、熱や咳、鼻水と いった症状を抑える薬を処方することになります。
症状を抑えることで、安静が保ちやすくなり食欲が増すといった効果は期待できます。
・汗をかかせたほうがいい?
熱の上がりはじめで、寒気を訴えるときは温めてあげてください。
しかし、すでに高熱の体を暖め過ぎてしまうと、さらに熱を上げることになります。
「風邪」のときは、汗を かいても熱が下がることは期待できませんので、毛布にくるめるようなことは避けましょう。
水分をしっかりとって、首や脇、股の部分を冷やすようにする(クーリング)ことが効果的です。
・お風呂は?
体温が何度以上だとお風呂に入っていけないということはありません。
つらそうそうな 時は無理せず、蒸しタオルで体をふいてあげたり、ぬるめのお風呂やシャワーで汗を軽く 洗い流してあげるのは問題ありません。


風邪と上手につきあう
風邪はウィルスが原因です。  こどもは感染を繰り返しながら免疫力をつけて丈夫になっていきます。  体が病気に対する勉強をしている時期と考えましょう。  正しく風邪をひき、風邪をひいても早く治るよう日ごろから外で遊び体力をつけておくことも大切になります。  また、発熱時もすぐに解熱剤を使用するのではなく、自然快復力のトレーニングと考えることも必要です。

 

◇インフルエンザ


問い 1 : 「インフルエンザ」ってどんなもの、「風邪」との違いは?
答え : 冬から春先に流行するインフルエンザウィルスに感染することでかかります。  最初の症状は咳や鼻水など、「風邪」の症状と似ていますが全く別の病気です。  大きく分けるとA型B型と2つの型にわけられますが(C型もあるのですが、大きな流行になることはありません)、毎年少しずつ形を変えてきますので何度もかかる可能性があります。  また、症状により型を判断することは難しいと言われています。  毎年流行するウィルスは非常に感染力が強く、抵抗力が弱い小児やお年寄りは重症化したり合併症を起こしたりすることがあるので、しっかり予防することが大切です。
症状は、咳・鼻水のほか、発熱(急に高熱がでて、いったん下がってから再び発熱することもあります)・頭痛・関節痛・筋肉痛といった「全身症状」が強く現れます。  診断は迅速検査で確定しますが、症状が出てある程度時間がたたないと正確に判断できないので注意が必要です。

●インフルエンザの合併症
「風邪」との症状の違いは、急な高熱と全身状態の悪さです。  また、悪化すると肺炎、気管支炎、中耳炎、熱性けいれんといった合併症を起こすことがあります。  特にこわいのは、脳症です。以下の症状がある場合は、すぐに病院へ行きましょう。
・呼びかけに反応しない →意識障害が疑われます。
・けいれん → 5分以上続くときは、救急車を呼びましょう。
・異常行動 → 意味不明のことを言う、叫ぶ、また幻覚を訴えることがあります。

問い 2 : どうしたら「インフルエンザ」を防げるの?
答え : 基本的には「風邪」の予防法と同じですが、多少異なる点と注意点を説明します。
・予防接種
流行前の予防接種は大切です。  最近の調査によると、ワクチンにより4割から6割程度 感染が予防できたとする報告があります。  また、感染しても脳炎等の重症化を防ぐ効果が 期待できます。  生後6か月から予防接種を受けることができますが、特に赤ちゃんがいる ご家庭では家族全員接種することをお勧めします。
・人混みを避ける
流行期には、なるべく人混みは避けるようにしましょう。  マスクは「インフルエンザ感染を予防できる」とは言えないのですが、ある程度の効果は期待できます。
・手洗い
特に手洗いが大切です。  うがいも習慣にしていただきたいのですが、残念ながらインフルエンザにはうがいの予防効果は少ないと言われています。

問い 3 : 「インフルエンザ」にかかってしまったら?
答え : インフルエンザにはウィルスの増殖を抑える抗ウィルス薬がありますが、治療の基本は「安静」と「水分補給」のホームケアです。
・安静
まず安静が第一です。  1週間程度は、できるだけ静かに過ごしましょう。  熱が下がっても、様子を見ながら少しずつ普段の生活に戻していくようにしましょう。
・水分補給
高熱により汗をかいて呼吸も荒くなるので、体から水分が失われて脱水症状を引き起こし やすくなります。  母乳やミルクのほか、湯冷ましや麦茶、経口補水液をこまめに飲ませる ようにしましょう。  尿の回数や量が減った、泣いても涙が出にくい、肌をつまむとしわが 寄るといった場合は脱水症が疑われます。  脱水症状が疑われ、水分摂取できない場合は 病院へ行くようにしましょう。
・抗ウィルス薬
インフルエンザウィルスは増殖のスピードが速いため、症状が出現して48時間以上たつ と抗ウィルス薬の効果が現れにくくなります。  ウィルスの増殖を防ぐ薬で、服用しない 場合と比べて発熱期間を1~2日程度短くする効果があります。  熱が下がっても、体から ウィルスがいなくなったわけではありませんので他の人へ感染する可能性はあります。  症状が出てから1週間、少なくても熱が下がってから3日間(小学校は2日間)は自宅療養が必要になります。

 

◇ノロ・ロタウィルスによる感染性胃腸炎


問い 1 : 「感染性胃腸炎」ってどんなもの?
答え : 主にウィルスに感染して起こる急性の胃腸炎です。  「おなかのかぜ」といわれることもあります。  冬にかかることが多いのですが、原因となるウィルスは数多く、秋から春先にはノロウィルス、冬にはロタウィルスが流行します。  感染力が強く、保育園や幼稚園といった集団生活でひろがったり、家族内でうつることもあります。  症状は、急な嘔吐や下痢で始まります(発熱をともなうこともあります)。  ノロウィルスでは嘔吐やひどい下痢は1~2日で落ち着くことが多いです。  ロタウィルスの典型的な場合は白っぽい水様便となります。  症状はノロウィルスより重く、下痢は1週間ほど続くこともあります。  また、けいれんを起こすこともあり注意が必要です。

問い 2 : 「感染性胃腸炎」を防ぐには?
答え : ウィルスが原因ですので、「風邪」と同様の予防法となります。  知らずに家族からお子さんにうつしてしまうこともありますので、まず大人が手洗い・うがいを習慣にしましょう。  便や嘔吐物を処理するときは、使い捨て手袋・マスクを使用し、吐いたものや処置に使った物品は、二重にした袋に入れて密閉する等、他の人への感染を防ぐようにしましょう。  吐いた後の床やドアノブを拭くさいの消毒はアルコールでは不十分なので塩素入りのものがおすすめです。(500mlのペットボトルに水を入れ、ハイター等の市販の漂白剤をキャップ2杯加えると自宅でも作れます。  その場合は換気に注意しましょう。)
・ロタウィルスワクチン
ロタウィルスには予防接種があります。  実際、ワクチン接種が始まってから感染性腸炎で入院する患者さんが減りました。  ただし、接種する月令が遅くなると副反応で「腸重積」 を起こしやすくなることがわかっており、ワクチンの種類により6か月または8か月まで に接種終了することになっています。

問い 3 : 「感染性胃腸炎」にかかってしまったら?
答え : 感染性腸炎を起こすウィルスに対する特効薬はありません。  ホームケアの基本は水分補給です。
・嘔吐が強い時期は無理に飲ませないほうがよいでしょう。
嘔吐がひどいのは症状が出始め てから半日程度です。  落ち着いてから、少しずつ(スプーン1杯から)水分摂取を開始してください。  嘔吐・下痢により水分とともに電解質も失われますので、電解質を含むベビー用イオン飲料や経口補水液も飲ませましょう。(いわゆるスポーツドリンクは糖分が多く電解質は少ないので注意が必要です)母乳はそのまま続けてかまいません。  「少しずつ、こまめに(数分から30分程度)」与えることが大切です。
・食事は、水分摂取ができるようになり食欲が出てきてからで十分です。
最初は消化に良い ものを少量から食べさせるのがコツです。  幼児は、炭水化物(ご飯、うどん、パン、ジャガイモ)、豆腐、白身魚、鶏肉など脂分の少ない肉、野菜など含む食事をおすすめします。  脂っぽい食品や柑橘系の飲み物は避けるようにしましょう。

病院での治療
処方されるのは主に整腸剤で、場合によって吐き気止めが出されます。  下痢止めはかえって症状を長引かせることになるので、小児科では最初から処方することはありません。  脱水症状がみられ水分摂取できない状態の場合は、輸液することもあります。 「半日以上おしっこがでない。  水分摂取ができずぐったりしている。」といった場合は病院を受診するようにしましょう。


以上です。
体に注意し、健康で楽しい冬をお過ごしください。

 


お医者さま紹介
小島博之(こじまひろゆき)先生
東小岩わんぱくクリニック院長医学博士  
小児科学会専門医
アレルギー学会専門医プライマリケア学会指導医
1991(平成3)年千葉大学医学部卒業し、千葉大学医学部小児科入局。 千葉大学付属病院・国立病院機構千葉医療センター・松戸市立病院・国立下志津病院等勤務後に平成7年より現職 。  江戸川区・葛飾区に5つの関連小児科クリニックがあり、子育て支援を目的にすべてのクリニックに病児保育室を併設している。  小児期から喘息・アトピー性皮膚炎に悩んだ経験から小児科医となり、アレルギーを専門に選んだ。 趣味は犬の散歩、食べ歩き。

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